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マンチェスター・ユナイテッド(以下、マンチェスター・Uに省略)は、12月28日、第19節のトッテナム・ホットスパー戦を0-0で引き分けて、シーズン前半戦の試合を終えた。
現在のプレミアリーグの順位は、チェルシーが勝ち点46で首位を守っている。2位には勝ち点43でマンチェスター・シティが続き、マンチェスター・Uは勝ち点36で3位につける。
ドイツ・ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンと同様に、今季のマンチェスター・Uは怪我人を多く抱える。DFのマルコス・ロホ、MFのダレイ・ブリント、アンヘン・ディ・マリアなど移籍してきた主力選手が出場できないでいる。
そうした状況の中で、今季新しく指揮をとるルイス・ファン・ハール監督は、3バックシステムを採用して不調だった昨シーズンからの脱却をめざしている。
2015年の戦いは元旦の1月1日から始まる。対戦相手は、アウェイで待ちかまえる勝ち点25で11位につけるストーク・シティである。
果たしてマンチェスター・Uは、巻き返しをはかれるのだろうか? そして、3バックシステムはチームにどこまで根づいているのかを検証してみたい。
トライアングルに配置された選手
マンチェスター・Uは、[3-5-2]の3バックシステムを採用している。中盤の5人は、CHの2人と両WBの2人とトップ下の1人から構成されている。FWの2人は横並びでかまえる。
CHはマイケル・キャリックとウェイン・ルーニーで、WBは右がルイス・アントニオ・バレンシアで左にアシュリー・ヤングがいる。トップ下にはファン・マタを置き、FWはラダメル・ファルカオとロビン・ファン・ペルシーが務める。
基本的に、守備のときはルーニーとキャリックの2人が並んでDFの前にいるのだが、攻撃の際にはルーニーが前線に上がっていき、キャリックはその場にステイするので、[3-1-4-2]のシステムになる。

このシステムで注目すべきは、ビルドアップする際にボール交換が円滑に行われることである。ビルドアップとは「ゲームの組み立て」という意味で、ビルドアップを開始するには自分たちがボールを持っているということが前提になる。「ゲームの組み立て」はGKやDFから始まるので、システムのスタートポジションから行われると理解してよい。
トッテナム戦でのマンチェスター・Uは、選手がトライアングルに配置されているので、ダイレクトパスでのパス交換が何度も見られた。どのようなトライアングルに配置されているのかは、図を参照してもらえればわかると思う。
このようなトライアングルの配置を利用してボールが回っていき、試合の前半は特に左WBのヤングの攻撃参加が何度も見られた。
では、マンチェスター・Uの3バックシステムは、今後も機能するのかどうかを「攻撃面」と「守備面」において考えてみたい。
3バックシステムの「攻撃面」
3バックシステムの「攻撃面」での基本的な動きは5つ挙げられる。それをマンチェスター・Uの選手にあてて説明しよう。
【1】両WBのヤングとバレンシアはポジションを上げる。
【2】最終ラインにいるフィル・ジョーンズ、ジョニー・エヴァンス、パディ・マクネアの3人は、ピッチの横に広がってポジショニングする。
【3】2人のCHのうちルーニーが攻撃参加したときは、もう一人のCHのキャリックが下がってポジショニングして攻撃を組み立てる役割を担う。
【4】トップ下のマタは、相手のCHの背後からボールサイドにポジショニングする(トッテナムのシステムは[4-2-3-1]だったので2人のCHがいた)。
【5】2トップのファン・ペルシーとファルカオは、お互いの近くでプレーするように心がけて、ファルカオが引いたときには、ファン・ペルシーが裏を狙うなどのコンビネーションを使って攻撃する。あるいは、トップ下のマタが下がってボールをもらいに行ったならば、FWのどちらかがサイドに流れてボールを引き出し、もう一方のFWは裏に狙う。
トッテナム戦を見てもらえばよくわかるのだが、【1】から【5】までの動きは、すべてオートマティズムに行われていた。たとえば、試合前半にキャリックがミドルパスを相手DFの裏に送って、そこにファン・ペルシーが飛び込むシーンがあった。これは、ルーニーが攻撃参加しているので下がり目にポジショニングしてゲームを組み立てるキャリックのパスに、ファルカオの近くでプレーしていたファン・ペルシーが相手のDF2人の間から裏に抜け出した場面だった。
ここ数試合のマンチェスター・Uは、3バックシステムのメリットを最大限に活かすような攻撃が展開させるようになった。
では「守備面」においてマンチェスター・Uの選手たちは、どのように3バックシステムに対応しているのだろうか?
(後編につづく)
(表記の説明)
GK=ゴールキーパー
DF=ディフェンダー
CB=センターバック
SB=サイドバック
WB=ウイングバック
CH=センターハーフ
MF=ミッドフィールダー
WG=ウインガー
FW=フォワード
CF=センターフォワード